【主日礼拝 】                                 2014年3月16日 

  『捨てる覚悟が道を開く』      

使徒言行録20章32-35節

山岸 明牧師

 今日の20章はパウロの「遺言説教」と言われています。パウロはミレトスに滞在していたとき、約50k離れたエフェソに人をやって、それぞれの教会の長老たちに集まってもらいました。そこでパウロは自身の覚悟を伝えました。「わたしは、聖霊に促されてエルサレムに行きます。そこでどんなことがこの身に起こるか、何も分りません。ただ、投獄と苦難がわたしを待ち受けていることはだけは、聖霊がどこの町でもはっきり告げてくださっています。しかし、自分の決められた道を走りとおし、また、主イエスからいただいた、神の恵みの福音を力強く証するという任務を果たすことができさえすれば、この命すら決して惜しいとは思いません」(22−24)。パウロは自分がエルサレムに行ったら、生きて帰れないことを悟ったのです。

 そして、集まった長老たちに二つのことを託しました。一つは、残忍な狼どもが教会に入り込んできて群れを荒らす。だから、あなたがたは主の教えを思い起こして、目を覚ましていなさい。そして、もう一つ、弱い者、貧しい者を助けるように。「イエスご自身が『受けるより与えるほうが幸いである』と言われた言葉を思い出すように」(35)。神は私たちを愛するゆえに御子をお与えくださったのです。「神は、その独り子をお与えになるほどに、世を愛された」(ヨハネ3:16)。

 パウロがエルサレムへ行くと、聖霊が仰せられた通りに捕えられ投獄され、裁判にかけらえました。パウロは死を覚悟したでしょう。でも悔いはない。自分は最後まで主に仕えてきた。しかし、ここから話は急展開していくのです。パウロはローマ市民権をもっていたので皇帝に上告することができた。それによってローマに護送されることになりました。パウロは今まで何度もローマに行って福音を伝えたいと願っていました。しかし、そのつど、何かに阻まれていくことが出来ませんでした。「何回もそちらに行きたいと企てながら、今日まで妨げられているのです。」(ローマ1:13)。パウロは命を捨てる覚悟でエルサレムに来ました。そして、聖霊の仰せのとおりに、投獄と苦難を受けました。しかし、そこからパウロが望んでいたローマへの道が開けたのです。まさに、捨てる覚悟が道を開いたのです。


 
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